【ダイハツ ムーヴ 新型試乗】「カッコよさ」盛り込んだ軽ハイトワゴンの逆襲…中村孝仁 物を買う時、どうせ買うなら大きいものを買う。これ、やりがちな行為である。とりわけ子供の服などはその典型。どうせすぐに大きくなって着れなくなるから。これ、道理である。どうもクルマにもその公式が漠然と当て嵌まる。 同じ値段ならデカい方を買おう。その方が見栄えもいいし、室内で快適に過ごせるから。そんな理由から、スーパーハイトワゴンなる背の高い軽自動車が受けているのだろうか。確かに乗降性はいいし、室内の解放感も高い。でも、それなりに犠牲になる部分だってある。その最たるところが走行性能だ。背が高ければ当然重心高も上がり、ロール剛性も悪くなる。だから、本当ならばそこそこで納めておいた方が良いに決まっている。新しいダイハツ『ムーヴ』に乗って、そんなことを感じた。 このクルマがターゲット層とする購買層は、「多くの消費カルチャーを経験してきた目利きの世代」なのだそうだ。何かそう言われると買う側もまんざらではないと感じると思う。目利きという殺し文句があるからか。言うまでもなく今、軽自動車の主流はいわゆるスーパーハイト系。だから、ハイト系のムーヴの市場だは押され気味。今回のモデルチェンジでムーヴはそのハイト系として新たにスライドドアを設定したことが大きな変化なのだが、クルマを見て個人的に思ったことは、そこじゃなくてそのカッコ良さであった。 近年の軽自動車は、とにかく室内を大きくしようと頑張る傾向にあるから、フロントピラーは極力立てて、頭上空間を稼ぎ、エンジンをはじめとしたメカニズムを狭い空間に押しやるから、どれもこれも似たようなデザインで、少なくとも格好で選ぼうという気になる人はいないように思える。そんなわけだから、どうしてもデザイン的な差別化を図るべく、ノーマル車両といわゆるカスタム系の車両の2本立てラインナップとされることが多い。 実はこれ、ダイハツ・ムーヴが最初に仕掛けたものだったそうだが、今回のムーヴはカスタム系のモデルを敢えて置かず、シングルラインナップとなった。その代わりと言うわけではないが、「アナザースタイルパッケージ」と言う、メーカーオプションとディーラーオプションを組み合わせた仕様が設定されているから、どうしても「人と違う」が欲しい場合はこちらを選べばよい。ただし、ざっくり13万円