【マツダ2 XD Sport+ 新型試乗】470km走って感じた「ディーゼル×MT」の魅力…中村孝仁 『デミオ』と呼ばれていた時代からコンパクトで上質な内外装を持ち、しかもディーゼルエンジンがチョイスできるモデルとして、個人的に高く評価してきたのがこのクルマ。 2019年に車名を『マツダ2』と改めたが、マツダお得意の商品改良の一環であって、成り立ちはデミオの時代から何ら変わらず、新たにSKYACTIVアーキテクチャの要素を取り入れたことで、ブランド的に車名の統一を図ったものだった。マツダは以前からラインナップにMT(マニュアルトランスミッション)の設定を残し、運転好きには秘かな人気を得ていたことが広く知られていたが、ディーゼルにMTが存在したことは迂闊にも見逃していた。 というわけで昨年商品改良を受けたマツダ2の「XD Sport+」のMT車を借りてじっくりと乗ってみた。 デミオ以来のコンパクトカーとしては異例の上質感を持つ室内や適度な解放感などは、マツダ2となっても何ら変わっていない。ただ、デビューからすでに10年の歳月が流れ、常に商品改良を続けてきたとはいえ、アップデートできない部分もあるので、時代にアンマッチという部分があることは否定できないが、それでも良質なコンパクトカーであるというベーシックな部分は今の時代にも立派に通用し、少なくともクルマとしての動的質感はトップクラスにあると言って過言ではない。 かつて、ヨーロッパのコンパクトカーと言えばMTにディーゼルが定番だった時代が長く続いた。そんなあちらのクルマ事情に強く憧れたものだ。何故かというと、ご存じのように現在のクリーンディーゼルのターボエンジンは絶大なトルクを持ち、マツダ2の場合でも僅か1.5リットルながらその最大トルクは250Nmと、同じマツダではガソリンの2.5リットルエンジンに限りなく近いスペックなのである。 しかも発生回転数は1500~2500rpmと完全に常用回転域をカバーしているから非常に乗り易い。これが憧れる大きな理由で、正直に言えば敢えてMTをチョイスしなくてもATでその感触は十分に味わえるのだが、それでもMTに拘るのはやはり乗っていて楽しいからである。 実際、乗り出してみるとやはり極低回転域からもりもりとトルクが沸き上がるので、エンジンを回す必要を感じさせない。2500rpmを超え