小型トラックの概念が変わる、三菱ふそう『eキャンター』初の公道試乗で実感した「電動という武器」 世界初の量産電気小型トラックとして登場した三菱ふそうトラック・バスの『eCANTER(eキャンター)』が次世代に進化して1年あまりが経過したタイミングで、最新版に公道で試乗する機会を得た。 eCANTERにはさまざまな用途に対応した、28型式もの豊富なシャシーがラインアップされている。ホイールベースの違いにより積めるバッテリーサイズが異なり、2500mm、2800mm、3400mmのシャシーにはSサイズ(1基)、3400mm、3850mmのシャシーにはMサイズ(2基)、4750mmのシャシーにはLサイズ(3基)が搭載可能で、それぞれ容量と一充電あたりの航続距離は、Sサイズが41kWhで116km、Mサイズが83kWhで236km(いずれも標準キャブ)、Lサイズが124kWhで324km(ワイドキャブのみ)となっている。 試乗したのは、標準キャブでホイールベースが2500mmのドライバンだ。実際の使われ方に近づけるため、800kgのウエイトが積まれていた。 内外装の随所にオレンジのアクセントが配されている。インテリアでは空調の吹き出し口やステアリングホイール、シートのステッチなどが目を引く。 イグニッションをONにすると、パソコンのように起動するまでに10秒ぐらいかかるが、ファンなどが動き出してブーンという音こそ耳に入ってくるとはいえ、ディーゼルのあの音や振動を思うと、まったく別世界だ。 出発時点でバッテリーのSOCは10段階のフルで、航続距離は113kmと表示されていた。今回はエアコンを25度でAUTOにセットした。あいにくの雨に見舞われ、それもときおりかなり雨足が激しくなる天候ではあったが、めげずにせっかくの機会を有意義な時間としたい、と走りだす。 音もなく振動もないまま走りはじめて感じるのは、スムーズなのはもちろん、アクセルレスポンスが抜群によく、蹴り出しが力強いことだ。自重もそれなりに大きく、さらに800kgのウエイトまで積んでいながら、シグナルスタートでは普通の乗用車に負けないほど瞬発力がある。 静かでなめらかでシフトチェンジの必要もなし。坂道などに駐車する際や、Pレンジボタンを押したときには電動パーキングブレーキが自動的に作動するのも助かる。 トラックなのに