【スズキ GSX-S1000 試乗】猛獣のように吠えるエキゾースト音に魂が震える…佐川健太郎 アグレッシブな走りで人気のスズキを代表するスポーツネイキッド『GSX-S1000』にあらためて試乗してみた。2025年モデルでは新色となり、メーターが5インチカラーTFTに刷新されている。エッジの効いた前衛的なデザインは今見ても新鮮だ。 まずエンジンが素晴らしい。スーパースポーツ『GSX-R1000』の中でも、とりわけ名機の呼び声高い2005年型「K5」から派生した水冷直4エンジンをストリート用に最適化チューニングしたものだ。最高出力150psのスペックもさることながら、その神髄は出力特性にある。GSX-Rシリーズ随一のロングストローク型エンジンというメリットを生かし、さらに低中速トルク型に振ることでストリートでの扱いやすさや常用域でのパワフルな加速を実現している。 それでもストリートでは十分すぎるほどで、スロットルを開けた瞬間に反応するダイレクト感が凄い。ガオガオと猛獣のように吠えるエキゾースト音に魂が震える。「あ~この感じ、やっぱK5だよ!」と心の中でニヤリ。それでいてエンジン回転はスムーズで街中でも扱いやすく、4速ぐらいの高めのギアで流していても分厚いトルクが車体を押し出してくれるので、3000rpmも回していれば十分に速いのだ。さらにアップ&ダウン双方向のクイックシフター標準装備なので、発進&停止が多い街中でもストレスフリーである。 コーナリングも楽しい。ハンドリングは直進時にはどっしりしているが、幅広なハンドルのおかげで倒し込みのキッカケも作りやすく身のこなしも軽快だ。持て余すほどのパワーも電子制御システム S.I.R.S.(スズキ・インテリジェント・ライド・システム)が賢くコントロールしてくれるので安心。3種類の走行モードによって出力特性を瞬時に変更できるため、路面状況や気分によってフレキシブルに走りをアレンジできるのも強みだ。 旋回中も大型バイクらしい安定感があり、また、5段階調整式のトラコンやABSのサポートがあることで、さらに安心感を高めてくれた。ちなみにロケ日はまだ気温も低めだったのでほぼC(コンフォート)モードで走ったが、右手に敏感すぎずリラックスして乗れる。正直これが公道では最適と思った。 足まわりも盤石だ。KYB製サスペンションはフロントφ43