【スズキ スペーシア 新型試乗】ノンターボが「スローライフ派向き」な理由…中村孝仁 スズキ『スペーシア』が新しくなった。ジャパンモビリティーショーで、コンセプトカーとして紹介されたモデルが、そのまま市販された形である。 早速試乗会が開催されて、富士の裾野で試乗をしたのだが、正直言うとノンターボのスペーシアには不向きな条件だったので、改めてお借りして試乗をしてみた。その結果試乗会の時には気付かなかったことも含め、やはり数日乗ってみるとあれこれと気付くものである。結論から先にお話しすると、ノンターボのモデルはスローライフ派向きのモデルで、せっかちな人にはあまりお勧めできない。 その理由はというと、ノンターボ車はとことん効率を考慮した設定になっていて、そのメーカーの思惑通りに運転すれば快適だし静かだし、それに燃費も素晴らしい。ところがそれを外れると、喧しいし、遅いし、イライラすることになる。富士の裾野が何故不向きだったかというと、ご存じの通り山に向かって上り勾配のところが多く、そうしたところではどうしてもアクセルを深く踏み込む必要があって、本来持っているはずの静粛性を堪能することがほとんどできなかったからである。 改めてお借りして横浜近郊を数日走らせてみたら、少なくとも信号グランプリなどには参加せず、のんびりと郊外を流す程度の車速で走ると、実に快適で静粛性も高い。大きな理由は燃費を考慮してか、加速の際に少し踏み込んだアクセルを戻すとすぐにCVTがステップATでいうところのシフトアップをして常用スピード域のレベルのギア比にしてしまうからである。簡単に言えばMTで1速2速を使った後にいきなり4速か5速にアップするようなものである。 だから、一度話したアクセルペダルを再度踏むと今度は大きな唸りを伴って加速せざるを得なくなる。この時アクセルをほんの少しだけ踏めば、スムーズに、しかしゆっくりと加速を始めるが、せっかちには向かない。だからスローライフ向きなのである。 年費はすこぶる良くてWLTCでは23.9km/リットルだが、それは無理としても普通に走って20km/リットルを超える燃費性能を示した。本気で燃費運転をしたらもしかするとWLTCに迫る燃費を記録できるかもしれない。 乗り心地もすこぶる良い。この部分は現実的に下克上が起きていて、リッターカークラスの『ソリオ』を超える快